名古屋地方裁判所 平成3年(わ)972号 判決 1991年9月30日
(一)本店の所在地
名古屋市名東区一社三丁目四〇番地
法人の名称
有限会社名東工業所
代表者の住居
名古屋市名東区一社三丁目四〇番地
代表者の氏名
宮地利夫
(二)本籍
名古屋市名東区一社三丁目四〇番地
住居
右同所同番地
会社役員
宮地利夫
昭和一二年一〇月二日生
右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官遠藤浩一出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人有限会社名東工業所を罰金一六〇〇万円に、被告人宮地利夫を懲役一年に各処する。
被告人宮地利夫に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社有限会社名東工業所(以下「被告会社」という。)は、名古屋市名東区一社三丁目四〇番地に本店を置き、鉄骨の加工及び組立てを目的とする資本金三〇〇万円の有限会社であり、被告人宮地利夫(以下「被告人宮地」という。)は、被告会社の代表取締役(昭和五八年四月五日から平成二年一〇月二〇日までは取締役)として、被告会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人宮地は、被告会社の右業務に関し、法人税を免れようと企て、架空外注費を計上するなどの方法により、所得の一部を秘匿した上、
第一 昭和六二年四月一日から昭和六三年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が三八七五万七五八九円であったにもかかわらず、同年五月三一日、名古屋市千種区振甫町三丁目三二番地の所轄千種税務署において、同税務署長に対し、欠損金額が四二八万五六一三円で、これに対する納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額一五三一万七九〇〇円と右申告税額との差額一五三一万七九〇〇円を免れ、
第二 昭和六三年四月一日から平成元年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が五二六五万三〇六九円であったにもかかわらず、同年五月三〇日、前記千種税務署において、同税務署長に対し、欠損金額が八四万八九四五円で、これに対する納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額二一一五万四二〇〇円と右申告税額との差額二一一五万四二〇〇円を免れ、
第三 平成元年四月一日から平成二年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が八一〇八万九九八四円であったにもかかわらず、同年五月二九日、前記千種税務署において、同税務署長に対し、所得金額が〇円で、これに対する法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額三一五五万五六〇〇円と右申告税額との差額三一五五万五六〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示事実全部について
一 被告会社代表者兼被告人宮地の当公判廷における供述
一 被告会社代表者兼被告人宮地の検察官に対する平成三年七月一六日付け供述調書
一 宮地静子の検察官に対する供述調書
一 収税官吏作成の河田陽子、藤田和恵、宮地芳枝に対する各質問てん末書
一 検察官、弁護人中野直輝及び被告会社代表者兼被告人宮地作成の合意書面
一 収税官吏作成の脱税額計算書説明資料
判示冒頭の事実について
一 商業登記簿謄本
判示第一の事実について
一 千種税務署長作成の証明書(昭和六三年五月三一日申告分)
一 収税官吏作成の脱税額計算書(記録証第一四八号とあるもの)
判示第二の事実について
一 千種税務署長作成の証明書(平成元年五月三〇日申告分)
一 収税官吏作成の脱税額計算書(記録証第一四九号とあるもの)
一 検察事務官作成の捜査報告書
判示第三の事実について
一 千種税務署長作成の証明書(平成二年五月二九日申告分)
一 収税官吏作成の脱税額計算書(記録証第一五〇号とあるもの)
(法令の適用)
被告人らの判示各所為は、各事業年度ごとにいずれも法人税法一五九条一項(被告会社につきさらに同法一六四条一項)に該当するところ、被告会社につき情状により同法一五九条二項を適用し、被告人宮地につき所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告会社につき罰金刑につき同法四八条二項により判示各罪所定の罰金額を合算し、被告人宮地につき懲役刑につき同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をし、その金額及び刑期の範囲内で、被告会社を罰金一六〇〇万円に、被告人宮地を懲役一年に各処し、被告人宮地に対し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 北澤章功)